急性副鼻腔炎

膿性鼻漏、頭痛、頭重感、咳、鼻声などの症状がおこります。

前にも述べたように、かぜの後半部の症状として出現する場合が最も多いようです。 かぜは本来自然に治るものですが、症状が強い、回復しないなどの場合は当然治療が必要となります。

見逃しやすいのは、歯が関係している場合です。 片方だけがおかしい、臭い鼻漏があるときには注意が必要です。 副鼻腔炎の診断には内視鏡検査が非常に有用です。

内視鏡検査の優れている点は、膿汁がでる場所、量、性状をみて、咽頭、喉頭へどのような影響が及ぶであろうかなどが正しく観察できる点にあります。 抗生物質の投与が主な治療になりますが、治療の効果が上がらない場合は、CT検査をすることがあります。

このような場合に備え、近くの総合病院とは連絡を密にし、直ちに撮影を依頼できる体制になっております。

慢性副鼻腔炎

鼻漏、鼻閉、後鼻漏感、頭重感、痰などが主な症状です。

急性副鼻腔炎の場合もそうですが、病変の強さには左右差があり、空気の通りの悪い側は病状が高度になります。 つまり、鼻づまりのしやすい側は病気にかかり易く治りにくいといえます。

副鼻腔は顔面から頭部にかけて一側に4か所ありますが、その内面は粘膜に覆われており自浄作用を行っていますが、粘膜の厚さは極めて薄いものです。 ここに炎症がおこると粘膜は何倍にも膨張し、本来の機能は失われ、病変は慢性化していきます。

つまり、自浄作用がなくなり、分泌物は貯留し、そこに細菌の感染がおこり悪循環によって病変は不可逆性となり、その影響がしだいに鼻腔に及び鼻腔粘膜の性状も変化し病気が完成します。

治療の主眼は空気の通りをよくし、本来の機能を回復させることにあります。 鼻腔の清掃、薬剤の噴霧吸入(ネブライザー)、マクロライド系抗生物質の長期投与などが治療として行われますが、頻回に通院することが必要となります。

鼻閉、鼻漏などの症状が改善せず、鼻腔の形態にも良好な変化がなければ、手術が選択されます。 副鼻腔の手術は内視鏡手術が行われるようになり、格段に成績がよくなりました。

手術後の治療も大切なことを忘れないようにして下さい。

発声障害

かぜをひくと声が嗄れるというのはよくある症状です。

内視鏡で声帯を観察すると声帯が腫れ赤くなっており喉頭炎と診断されます。 高齢者の方で声がでにくくなったといってこられることがよくあります。 声帯の閉鎖が十分でないことがあり、会話不足による声帯の委縮ですと説明します。

この中に発声時に声門の上方が閉鎖し、発声しているのに声帯が見えにくい場合が多いことに気づくようになりました。 過緊張性発声障害の状態ですが、このような例が高齢者以外にも多数みられます。

反対に発声時に声帯がよくみることができ、前後方向への開大がよい人に歌をうたいますかと聞くと、はいと答える人が多いように思います。

歌をうたう時は腹式発声の状態にあり、正しい発声法です。

高齢者に腹式発声を指導することは長年の習慣ですから改善は困難ですが、過緊張性発声は比較的多いと思われ、診療を通じて正しい発声法を指導していきたいと考えております。